適応外使用

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はじめに

医薬品の適応外使用とは、医療従事者が承認済みの医薬品を使用して、医薬品の販売承認 (MA) の範囲外であり、製品概要 (SmPC) に詳述されていない方法で、患者を治療することです。

医薬品の適応外使用は EU 法制で規制されておらず、統一された定義はありません。承認済みの医薬品の適応外使用を宣伝することは禁じられています。すべての宣伝は SmPC に遵守している必要があります。

未認可医薬品と適応外使用の比較

医薬品販売承認 (MA) を持たない場合、医薬品は「未認可」です。未認可医薬品は市販されず、臨床試験または例外的使用や適用拡大制度でのみ使用できます。

対照的に、適応外使用には、認可され (MA を持つ) 市販されている医薬品が関与します。適応外使用では、医療従事者が承認済みの医薬品を使用し、医薬品について承認された使用方法とは異なる方法で患者を治療します。これには以下が関与する場合があります。

  • 異なる投薬計画の使用
  • 異なる適応や疾患に使用
  • 異なる集団に使用 (例: 成人への使用のみを目的としている医薬品を小児に使用)

適応外使用が適切な場合とは

特定の状況では、適応外使用は医学的に妥当であり、高品質な患者ケアの重要な要素になり得ます。ただしこれらは既存の厳格な法的要件の下においてのみ可能です。これには以下のことを患者、両親、ケア提供者と話し合うことも含まれます。

  • 医薬品は特定の症状の治療に承認されているのか、または適応外であるか。
  • 承認済みの代替的な治療があるかどうか。
  • 承認済みの代替的な治療と比較して、適応外治療に利点があるかどうか。または
  • 適応外使用が信頼できる研究によって支持されているかどうか。

開示の要求は、患者の自主性を保護し、患者が代替治療やリスクについて学ぶことができ、医療上の意思決定の向上につながります。医薬品を適応外として使用するとき、そのような使用に関連する不確実さについて追加情報を提供する必要があります。患者は追加情報を請求し、特定の懸念事項に対処する必要があります。医薬品を適応外として処方するかどうかの医師の判断は、証拠に基づく医療や患者の最善の利益と医療ニーズに基づき下す必要があります。

同意のプロセスを文書化することが推奨されます。一部の場合では、書面による同意を取得することが適切です。

医薬品を適応外として処方する場合、医師は医薬品の適応外使用により生じるあらゆる問題に責任を負います。適応外治療が成功した場合でも、患者の最大の利益について他の可能な治療と比較して、治療が標準的な診療と一致しないことから保険償還されない可能性があります。しかし、多くの場合、適応外使用の処方はベストプラクティスまたは標準ケアの一部を成す可能性があります。

HIV 治療

適応外使用の処方の一例は、HIV 予防に適応外使用をしばしば行う HIV 併用療法です。この医薬品は HIV 陽性患者の治療のみを使用目的としていますが、多くの患者が予防目的で服用しています。治療の他に予防を含めるよう適応の拡大を要求する際、患者団体が主要な役割を果たします。

他の例として、成人用に認可された用量よりも低用量で効果があることが証明された HIV 医薬品が挙げられます。しかし、低用量錠剤は成人患者用には提供されていません。別の製剤 (粒状の顆粒剤) が小児用途として導入され、同じ化合物の減量用量が可能になりました。成人 HIV 患者は、医薬品の副作用と過剰曝露を低減するため、小児用製剤を適応外使用することを選択します。

腫瘍科領域

他の医療領域と比較して、適応外使用の状況は腫瘍科 (癌) 領域においてより広範です。いくつか理由がありますが、主な理由は癌の異なるタイプの多さによるものです。1 つの抗癌剤が複数のタイプの癌に有用なことがあります。広く使用されている抗癌剤の多くは、効果的に利用できるすべての適応に認可されていません。

小児用

小児用の処方では、適応外使用を頻繁に行います。多くの医薬品が小児集団での使用に対して試験されておらず、小児への使用が認可されていないためです。小児への適応外使用の最も一般的な例が、適応とは異なる用量または頻度で処方される医薬品です。異なる適応症または別の投与経路用の医薬品を小児に投与する場合もあります。

小児への適応外使用の問題に対処するため、欧州連合では小児用医薬品に関する規制が施行されました。この規制は、0~17 歳の小児用の医薬品の開発と入手可能性を容易にすることにより、欧州の小児の健康を向上させることを目的としています。規制により、医薬品が高品質で、倫理的に研究され、適切に承認されることが確保されます。

医薬品安全性監視と適応外使用

販売承認保有者 (MAH) は、「使用法が販売承認の条件外の医薬品の使用に関するデータ」を含む、「該当する医薬品のベネフィットとリスクの評価に影響する可能性のあるすべての他の新情報」を規制当局に報告することが義務付けられています。2 適応外使用に関連する重要な安全性情報が入手可能になった場合、この情報を SmPC に取り入れる必要があります。さらなる指針が医薬品等の製造販売後安全管理基準に関する EMA ガイドラインによって示されています。

近年のソーシャルメディアの台頭や患者コミュニティー間の直接の交流により、患者団体は、医薬品安全性監視の範囲と効果を拡大し深めるために重要な役割を果たしています。このことは適応外使用の場合に特に重要です。製薬会社では、ソーシャルメディアのサイトを監視したり、患者団体との正式な交流の場を設けたりすることにより、市販後臨床試験以外の形で製品のライフサイクルを調査することが増えています。

追加資料

参照文献

  1. Centers for Disease Control and Prevention (2015).CDC Statement on IPERGAY trial of pre-exposure prophylaxis (PrEP) for HIV prevention among men who have sex with men.Retrieved 14 September, 2015, from https://www.cdc.gov/nchhstp/newsroom/2015/croi-media-statement.html
  2. European Medicines Agency (2014).EMA/873138/2011 Rev 1 Guideline on good pharmacovigilance practices (GVP):Module VI – Management and reporting of adverse reactions to medicinal products (Rev 1).Retrieved 14 September, 2015, from http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Scientific_guideline/2014/09/WC500172402.pdf

添付文書

A2-5.14-v1.1

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