HTA への患者さんの関与

Last update: 16 10月 2020

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はじめに

HTA 機関は世界共通の構造に従って組織化されているわけではありません。また、同様に HTA 機関の活動に患者が参画する画一の方法があるわけでもありません。患者さんが HTA 機関に参画する方法は、政治的および文化的背景により異なります。HTA への患者さんの参画は HTA 機関と患者さんの代表との協調の結果として発展する必要があり、経験およびフィードバックに応えて絶え間なく進化する必要があります。

患者の参画

HTA は公的な決定を支援するために使用されます (言い換えれば、医療制度のすべての潜在的ユーザーに影響する決定)。世界中のほとんどの医療の管轄では、保健大臣は迅速な治療を必要とする患者さんに対して責任があるだけでなく、医療制度の財政の主要な源である税金を納めている一般市民に対しても責任があります。医療の決定は皆の問題です:私たちはみな患者さんまたは将来の患者さんです。

HTA への患者さんの参画に対するアプローチは、医療制度および国に応じて異なります。こうしたアプローチには次のような場合があります:

  • ボトムアップ – 患者さんおよび国民の直接参加方式の参画に焦点を合わせる
  • トップダウン – 一般市民は単に代表であるか意見を求められる。

HTA プロセスへの患者さんおよび一般市民の参画、ならびに個人のニーズと集団のニーズのバランスをとることが重要です。専門家の意見、業界の利益、一般市民および患者さんの利益の間で、力の不均衡に対処するため措置を講ずる必要があります。

いったん新しい技術が評価され、その技術が「必要とされる」という主張だけでは、公的に責任ある決定者およびそれを支える HTA 機関 -に影響を及ぼすには十分ではありません。むしろ患者さんの参加を履行する良い方法は、参画 (代表であるという考え方と対峙する) と言えるでしょう。HTA 機関を介して、患者さんは HTA のより多くの場面に参加します。活動的な患者さんおよび一般市民の HTA への参画には、1 などのような活動のさまざまな組み合わせが含まれます :

  • HTA のボード、委員会、ワークグループのメンバーとして奉仕する
  • HTA の潜在的なトピックを特定する
  • HTA レポートに関して潜在的な対象グループを早期に特定する
  • HTA のトピックの中の優先順位の設定
  • 評価の対象となる医療の転帰およびその他の影響 (経済的、社会的など) を特定する
  • HTA を実施するための、外部組織/請負業者による提案または入札のレビュー
  • 評価委員会に対する専門家意見の提供
  • HTA に関する証拠の提出
  • HTA レポートおよび推奨事項のドラフトのレビュー
  • 患者さんに優しい HTA レポートサマリーの考案および準備の手助け
  • 政策決定者、患者グループ、その他の対象グループへの HTA の所見の拡散
  • HTA 推奨事項の適用の評価

(Facey による改編、2010 年)

患者さんの組織が HTA をより理解できるようになるにつれ、政策の優先順位およびアクセスに関する討議への参画が増します。さらに患者さんの組織は、HTA の推奨事項を使用して活動を報告し、ロビー活動を行って新しい治療法へのアクセスまたは既存の治療法の改善を図ります。

追加資料

OECD (2005).‘Health technologies and decision making’.Paris:Organisation for Economic Co-Operation and Development.Retrieved 20 November, 2015, from:http://www.keepeek.com/Digital-Asset-Management/oecd/science-and-technology/health-technologies-and-decision-making_9789264016224-en#page1.DOI:10.1787/9789264016224-en

参照文献

  1. Drummond M, Schwartz JS, Jönsson B. (2008).‘Key principles for the improved conduct of health technology assessments for resource allocation decisions.’ International Journal of Technology Assessment in Health Care, 24(3), 244–258.
  2. Facey, K., Boivin, A., Gracia, J., Hansen, H.P., et al. (2010).‘Patients’ perspectives in health technology assessment:a route to robust evidence and fair deliberation.’ International Journal of Technology Assessment in Health Care, 26(3), 334-40.

A2-6.02.4-v1.1

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