Last update: 11 7月 2023
はじめに
業界の多様性に富む国際的グループ (Sobi)、患者団体 (AKU Society および ALCAP)、 病院 (Royal Liverpool、Hospital Necker、National Institute of Rheumatic Diseases)、教育機関 (リヴァプール大学およびシエナ大学、Institute of Molecular Physiology and Genetics)、および中小企業 (Nordic Bioscience、PSR、Cudos) による、アルカプトン尿症 (AKU) 治療のための官民パートナーシップの一例です。
ケースの説明
DevelopAKUre は欧州委員会 の FP7 プログラムによる出資を受けた 3 つの一連の臨床試験です。薬剤ニチシノンについて調査を行い、それがアルカプトン尿症 (AKU) の治療に役立つかどうかのエビデンスを検証する予定です。このプロジェクトには用量反応試験 (SONIA1)、治療なしと治療ありを比較する有効性試験 (SONIA2)、および治療開始に最適な年齢を判断する横断的研究 (SOFIA) が含まれています。試験は欧州の 3 か所の施設 (英国、フランス、スロバキア) で実施されます。
DevelopAKUre は患者主導型の試験で、AKU Society を主要パートナーとしており、計画の各段階および試験の実施中には常に患者の視点が考慮されます。現在、AKU Society が患者の募集とサポートを主導して、患者情報の文書を作成し、患者の保持に努めています。AKU Society は DevelopAKUre 全体を通じて高レベルの患者ケアを提供するため、Indiegogo で主催したクラウドファンディング キャンペーンで追加の資金を調達しました。
AKU Society はさらにプロジェクトの宣伝も行って、プロジェクトの活動状況を患者や一般社会と共有しています。
詳細は https://akusociety.org/aku-clinical-trials/ をご覧ください。
関与する患者 (権利擁護者) のタイプ
- 個人的な疾患を持つ患者
- 疾患に関する優れた専門知識を持つが、研究開発 (R&D) 経験がほとんどないエキスパート患者または患者権利擁護団体
- 病気に関する優れた専門知識があり、優れた研究開発 (R&D) 経験があるエキスパート患者/患者の権利擁護者。
患者が関与するベネフィット
DevelopAKUre はユニークな、真に患者主導型の治験です。私たちはこの試験が、医学的研究の新たな枠組みを生み出し、治験の計画と実行における患者の関与を高め、患者の募集や保持といった作業を主導できる積極的なパートナーとして患者団体を関与させるという概念を導入するのに役立つものと信じています。
治験の計画に患者団体を関与させることで、より合理化された費用弁済プロセスの提唱やケア提供者の交通費の支給から、侵襲的検査を任意とすることや試験施設への来院回数を減らすことまで、さまざまな形で患者の経験が改善されています。
課題と障壁
- 資金調達:私たちは数年かけて臨床研究のための資金を調達してきました。最終的に、欧州委員会に申請を行い、600 万ユーロの資金を得ました。医学研究には多額の費用がかかるため、国家機関が希少疾病の研究に十分な資金を提供する可能性は低くなっています。
- 法と倫理:患者情報については AKU Society が主導していますが、患者情報に関する法的および倫理的な懸念事項については専門的なアドバイスが必要です。それについては、他のパートナー (PSR) および審査委員会に頼っています。
- 言語:欧州での患者募集において最大の障壁となっているのは言語の問題です。翻訳により、患者情報の作成には多大なコストが追加されています。
- 規制関連の問題:主に中小企業パートナーによる外部からの助言と、EMA による科学的助言によって解決しています。
学んだこと
今後はより多くの患者主導型研究が行われ、患者が臨床研究の計画および実施に関与し、患者団体が積極的な役割を与えられることを期待しています。私たちにとっては、患者団体の関与が最も重要になるのは疾病が患者にどのような影響を与えるかの理解においてであり、それによって研究パートナーのためによい選択を行うことが可能になります。製薬業界や教育機関との連携による追加トレーニング (EUPATI によるものなど)、医薬品開発プロセス、および治験の倫理的および法的要件が必要です。多くの患者団体は、彼らの貢献が医学的研究にとって貴重であり重要であることを示す激励を必要としています。
A3-DevelopAKUre-V1.0