EMA 委員会:オーファン医薬品委員会 (COMP)

Last update: 29 9月 2015

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はじめに

欧州医薬品庁 (EMA) のオーファン医薬品委員会 (COMP) は、「オーファン医薬品指定」を求める申請書を審査します。オーファン医薬品 (希少疾病用医薬品) とは、医薬品が希少疾病の診断、予防、または治療用に開発中であると分類されることを意味します。医薬品をオーファン医薬品として分類すると、特定の開発上のメリットがあります。以下の項目では、希少疾病の詳細と COMP の活動を導く規制的概念と法規について説明します。

EMA オーファン医薬品委員会 (COMP)

オーファン医薬品とは、希少疾病用の医薬品のことです。

希少疾病は命に関わるか慢性疾患 (日常生活に多大な影響を及ぼす長期的な状態) として定義されます。EU 内で 10,000 人中 5 人以下が希少疾病に罹患しています。つまり、EU 内で希少疾病に罹患しているのは約 3,000万人です。

一部の希少疾病の症状 (徴候) は出生時または小児期に現れることがあり (脊髄性筋萎縮症 (SMA) など)、他の希少疾病は成人期に現れることがあります (急性骨髄性白血病 (AML))。希少疾病の 80% では、変性 (組織の構造または機能の悪化) や増殖性 (急速な細胞産生) の機序を特徴とします。希少疾病の「原因」は一般的には遺伝的要因です。

希少疾病の医学的および科学的知見は依然として限られています。まだ十分に説明されていない希少疾病が多数存在し続けています。

希少疾病の治療の研究および開発を促進するため、EU 法規 (EC 141/2000)1 が導入されました。これにはオーファン医薬品を開発することを選ぶ企業に対する多数のインセンティブが含まれています。

この新しい法規は成功を収めています。導入後の最初の 5 年間で、オーファン指定に 458 件の申請が提出されました。

オーファン医薬品の主な治療領域は以下のとおりです。

  • 代謝障害 (体内の化学反応である代謝に影響を及ぼす障害)
  • 免疫学 (免疫系障害)
  • 心血管障害 (心臓の障害)
  • 呼吸障害 (肺および関連する構造の障害)

規制的概念と適用される法規

2000 年以降、EU でのオーファン医薬品の販売承認は中央審査方式 (CP) を通じて提出することが義務付けられています。

オーファン指定の申請 (無料) は、医薬品開発のいかなる段階でも行うことができます。しかし、オーファン指定の申請は、欧州医薬品庁 (EMA) に販売承認申請を提出する前に行う必要があります。

医薬品が「オーファン指定」資格を取得するには、以下の基準を満たす必要があります。

  • 致死的または慢性的な衰弱性の疾患の治療、予防または診断を目的としていること
  • EU 内での各疾患の有病率が 10,000 人あたり 5 人以下、または医薬品の販売により医薬品開発に要する投資が正当化されるほど十分な収益を得られる可能性が低いこと
  • 該当する疾患の診断、予防、または治療において満足できる方法が存在しないこと。存在する場合は、医薬品がその疾患に罹患した患者に多大なベネフィットをもたらすこと。

オーファン医薬品指定の申請の一環として、一般に、一部の予備的非臨床データまたは臨床データ (概念実証) が必要とされます。オーファン医薬品指定の請求は、指定請求が現在承認されていない新しいオーファン適応に関するものである場合は、既に承認済みの医薬品に対しても行えます。

オーファン指定の申請は、EMA オーファン医薬品委員会 (COMP) によって EU 専門家のネットワークを使用して精査されます。COMP は 2000 年に設立され、患者代表を委員会の対等な正会員として参画させた最初の委員会です。患者代表は欧州委員会によって任命されます。詳細な COMP 会員一覧は EMA ウェブサイトから閲覧できます。

医薬品がオーファン指定を受けると、企業は以下のような数多くのインセンティブから恩恵を得ます。

  • 減額でのプロトコル作成支援 (指定を受けたオーファン医薬品に特化した科学的助言)
  • 医薬品が販売承認を付与された後 10 年間の市場独占権 (承認後 10 年間、他の企業が同様の医薬品の販売を許可されない)
  • 医薬品販売承認申請の費用減額も利用可能
  • EU および加盟国の研究開発プログラムやイニシアチブの助成金取得に適格となる可能性

治験依頼者は、医薬品の開発状況を要約した年次報告を EMA に提出することを要請されます。

オーファン医薬品が先進治療の場合、医薬品を先進治療医薬品として分類させるために先進医療委員会 (CAT)への申請も行う必要があります。

医薬品の開発が完了したら、ヒト用医薬品委員会 (CHMP) が医薬品販売承認の申請を評価します。CHMP により肯定的意見が得られた時点で、医薬品がオーファン指定を受けている場合は、申請書類が COMP に戻されます。これにより COMP では、基準が依然として有効で、製品がオーファンステータスを維持しているかを判断できます。

EU で採択されたオーファン医薬品の全一覧は、コミュニティ登録 (Community Register) で閲覧できます。2

欧州医薬品庁 (EMA) は、EU 外の規制当局のオーファン指定を並行申請することを推奨しています。また、EMA は米国および日本の規制機関と特別な取り決めを交わしています。この目的のために単一申請が設計されています。

追加資料

参照文献

  1. European Parliament (2000).Regulation (EC) No 141/2000 of the European Parliament and of the Council of 16 December 1999 on orphan medicinal products.Retrieved 3 September, 2015 from http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?qid=1441289843912&uri=CELEX:32000R0141
  2. European Commission (2015).Register of designated Orphan Medicinal Products.Retrieved 3 September, 2015 from http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?qid=1441289843912&uri=CELEX:32000R0141

添付文書

A2-5.08.2-v1.1

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