小児用医薬品:早期開発の課題

Last update: 16 10月 2020

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はじめに

小児用医薬品の開発には、科学的および規制上の課題があります。研究者は、小児に対して新しい候補医薬品を導入する適切な時期を決める必要があり、意思決定には、注意深い考察と計画立案が要求されます。

小児用の開発はいつ始まるでしょうか。

新しい医薬品をヒトにおいて試験する前に、動物を含む試験・研究をすでに多く実施しています。早期のヒトに対する試験では、成人における医薬品の安全性に焦点を置き、安全性と有効性の双方について情報を得るためデザインし、大規模な検証的試験を開始する前に、医薬品に効果があるか判定します (「プルーフ・オブ・コンセプト」)。臨床試験中に、医薬品の小児用開発について検討する必要があり、可能な場合には開発を開始します。

考察の実際のタイミングは、個別のプロジェクトにより異なりますが、常に開発早期に検討を開始し、新しい製剤の開発と適切な非臨床および臨床試験を含むさまざまな活動向けに十分時間を取る必要があります。医薬品開発に小児を含める適切な時期は、疾患やアンメットニーズ、また、医薬品がすでに良く理解された機序を持つ医薬品グループの一部であるか否か、または新規 (新しい) 医薬品かにより異なります。タイミングは、規制当局の要件によっても左右されます。たとえば、EU では US よりも通常早期です。EU と US 間の合意も異なる場合があります。

小児用医薬品の開発に適用される法律

EU では、単独の法律で、小児用医薬品の開発と医薬品の小児に対する使用の認可について定めています。1 この法律では、早期の医薬品開発に小児を含めることを要求しています。法律では、医薬品の効果に対する理解が進み始め、ヒトを対象とする最初の研究が完了した時点において、小児調査計画 (PIP) の提出が義務付けられています。また、法律では、この義務を遵守して PIP を期限内に提出した者にインセンティブが付与されます。

特に医薬品を成人と小児の両集団に使用する可能性がある場合、理想的には、治験依頼者は、医薬品について成人で臨床研究を開始するときから、ほぼ並行して小児用の開発を進めることを目指すことです。したがって、医薬品を成人に使用できるようになった場合、同時または少し後に、小児に対しても使用可能になります。検討を並行して行いますが、成人と小児用の開発計画では結果に時間差が生じる場合があります。

参照文献

  1. European Parliament (2006). Regulation (EC) No 1901/2006 of the European Parliament and of the Council of 12 December 2006 on medicinal products for paediatric use. Retrieved 11 July, 2021, from https://op.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/f02fd0de-82a9-42d8-9cd1-723176bb5ce0
  2. European Parliament (2006). Regulation (EC) No 1902/2006 of the European Parliament and of the Council of 20 December 2006 amending Regulation 1901/2006 on medicinal products for paediatric use. Retrieved 11 July, 2021, from https://op.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/962e5f1e-9acf-4862-8b1b-1d5b01c8265e

A2-1.18.3-v1.3

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