第 I 相試験

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はじめに

第 I 相試験は通常、ヒトを対象に実施される最初の薬剤試験であり、「ファースト イン ヒューマン試験 (ヒト初回投与試験ともいう)」と呼ばれています。これは通常、人間薬理学の試験になります。第 I 相試験を開始する前に、薬剤については検査室試験および動物実験における詳細かつ広範な検査が行われます。これらは非臨床試験と呼ばれています。

第 I 相試験における重要な質問

第 I 相試験では、新薬についての次のような質問に答えることを目指します。

  • この薬剤はヒトにとって安全か。その場合、どのくらいのレベルが安全か。(忍容性)
  • 身体はこの薬剤に対して何をするか。(薬物動態 (PK))
  • この薬剤は身体に対して何をするか。(薬力学 (PD))
  • どのような相互作用があるか。(薬物間相互作用、飲食物との相互作用など)
  • この薬剤には活性があるか。

第 I 相試験の特徴

場所

第 I 相治験は多くの場合、経験豊富な常勤のスタッフが参加者を観察できる、専用の入院施設において実施されます。ファースト イン ヒューマン試験は、予期しない重篤な有害反応が発生した場合にあらゆる安全規定の実施が可能である、単一の施設で実施することが望まれます。そのような安全規定には、緊急事態用の機器やスタッフがいつでも対応可能であり、集中治療室の設備が整っていることも含まれます。この規定は、「Guideline on strategies to identify and mitigate risks for first-in-human clinical trials with investigational medicinal products (高リスク治験医薬品を使用したファースト イン ヒューマン治験のリスクを特定して緩和するための戦略に関するガイドライン)」(ロンドン、2007 年 7 月 19 日、参考文書:EMEA/CHMP/SWP/28367/07) に記載されています。

参加者

第 I 相試験は通常、目的が非治療的なものであるため、健康なボランティアで実施されます。少数の第 I 相試験は、患者を対象に行われます。一部の治験医薬品 (抗がん治療の場合など) は、健康な参加者に投与するには毒性が強すぎるからです。

報酬

第 I 相試験の参加者には、現地の法律に基づいて報酬が支払われる場合があります。参加者に対する支払いという形での報酬は、リスクに関連したものであってはならず、報酬の額は倫理委員会が審査を行い、試験開始前に参加者が署名するインフォームド コンセント文書に明記される必要があります。

リスク

治験医薬品に関しては広範かつ詳細な非臨床検査が行われますが、ヒトに対して起こりうる副作用は、ファースト イン ヒューマン試験の前に完全には知ることができません。この不確実性のため、第 I 相試験には重大なリスクが含まれる可能性があります。潜在的リスクは動物モデル、関連する作用機序を持つ薬剤に対する以前のヒトの暴露、標的の性質、その他の考慮事項によって特定されます。

第 I 相試験におけるリスクの軽減

第 I 相試験への参加には、重大なリスクが伴う可能性があります。欧州医薬品庁では、ファースト イン ヒューマン試験の参加者に対するリスクの特定および軽減に関するガイドラインを発表しています。(EMEA/CHMP/SWP/28367/07)

リスクを軽減するために考慮される主な要素は次のとおりです。

  • 試験対象母集団
  • 試験施設
  • 初回用量
  • 投与の経路と速度
  • 各用量に割り当てる参加者数 (コホート)
  • 同一コホート内の参加者の投与の順序と間隔
  • 用量を漸増する際の増加量
  • 次の用量コホートへの移行
  • 打ち切り規則
  • 最大耐量 (MTD)

品質面

すべての治験医薬品における物理的・化学的特性、生物学的活性、さらに生物学的製剤の生物学的特性に関する要件は同一です。品質属性は、それ自体がファースト イン ヒューマン試験のリスク源となってはなりません。ただしそうした品質属性は、ファースト イン ヒューマン試験に先立つリスク評価の際の検討事項となります。

具体的な検討事項は次のとおりです。

  • 安全な初回用量 (強度と効力) の決定
  • 使用する物資の制限
  • 微量投与の信頼性

 

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