製剤設計:医薬品の製剤化方法

製剤とは、有効成分を必要に応じて服用できる使いやすい医薬品にする過程のことです。製剤は、吸収を最適化するために医薬品を調剤し調合するという原則に則り、薬剤学の一部である剤形設計という分野 (学問) を構成しています。

有効成分は製剤開発、安全性評価の研究、および臨床試験に必要とされます。十分な量の上質な有効成分が化学物質の開発過程で生成され、安全性試験や科学者が医薬品を製剤するために使用されています。

医薬品には有効成分の製剤 (錠剤、クリーム剤、懸濁剤、液剤)、賦活剤 (乳糖などの非有効成分)、および包装・配達容器 (ブリスターパック、壜、吸入器、バイアル、充填済注射器) があります。

非臨床試験用製剤設計

非臨床安全性試験の狙いは以下となります。

  • 最大許容用量まで反応を調べる
  • 潜在的な危険を検出する
  • リスク評価を実施できるデータ量を生成する
  • 初期の臨床試験の用量選択を補助する
  • ヒトへの安全性を監視するために「マーカー」を提案する
  • 標的に特化した検査の土台を提供する

しかしながら、これらの安全性試験によって、ヒトにおける安全性の保証やヒトにおける反応の予測が可能になるわけではありません。安全性の検査で、動物およびヒトのデータにおける安全性の範囲を評価します。これらのタイプの検査に対する考慮事項は以下となります。

  • 投与量、
  • 全身暴露の範囲および期間、
  • 一日の全身暴露量、
  • 代謝物の暴露と特定、および
  • 標的臓器における暴露。

安全性検査は、有効成分、並びにすべての関連する物質、溶剤、分解生成物、賦形剤、および最終処方に含まれる他の有効な物質と抽出剤に関して実施します。

臨床試験用製剤

適切な投与形態の開発において考慮すべき要因には、患者の受容性および有効成分の特定要件があります。非有効成分あるいは賦形剤は医薬品用量の大部分を占め、有効な化合物の担体として働きます。たとえば、トウモロコシ澱粉や乳糖は錠剤に使用されますが、水-油エマルションは軟膏に使用されます。

投与形態はまた、有効成分の吸収や適用性に影響するため、医薬品の治療効果にも影響します。投与形態によって、有効成分がどのように体内に摂取されるか、どこでどのような用量で放出されるか、吸収されるまでにどれくらいの時間を要するかが決定されます。さらに、投与形態は、患者の医薬品の安全な服用や容易な取り扱いを可能にする必要があります。

製剤科学者は、物質を体内に吸収できるようにし、治療用量が標的臓器に到達するようにします。一部の有効成分は錠剤として摂取されることに適さないため、投与形態に対する特別な需要 (点眼、吸入用製品、患者の口内で溶ける錠剤) は通常、製剤科学者にとって新たな課題となります。

医薬品の製造および品質管理に関する実践規範 (GMP)

ジェネリック医薬品やバイオ後続品などを含めてすべての医薬品は、ヒトに投与する前に、医薬品の製造および品質管理に関する実践規範 (GMP) のガイドラインに従って製造しなければなりません。

GMP ガイドラインで、製造、検査、品質保証に関する指示が規定され、医薬品をヒトが安全に摂取できるようにします。多くの国には製薬会社や医療機器製造会社が GMP の手順に従うことを課す特別な法規があります。ほとんどの規制は国際的に承認されたガイドラインに基づいています。

GMP ガイドラインはいくつかの基本的な原則に従います。

  • 衛生:医薬品製造施設では、清潔で衛生的なエリアの維持が必要となります。
  • 制御環境条件 医薬品をヒトが摂取するには安全でない状態にする可能性のある他の化合物や関係のない粒子物質に医薬品が二次汚染しないようにします。
  • 明確に定義され制御された製造過程:
    • すべての重要なプロセスを検証し、仕様との整合性があるか、また仕様に準拠しているかを確認します。
    • 過程に対する変更は何であれ評価対象となります。
    • 医薬品の品質に影響を及ぼす変更については、必要に応じて検証します。
    • 指示書および手順書は明白で分かりやすい文言で記述します。(適切な文書処理―GDP)。
    • 作業者は、手順を実行し文書化するように研修を受けます。
  • 記録の生成は、製造時に手動または道具を使って行い、定義された手順および指示が要求するすべてのステップが実際に行われたこと、および医薬品の量と質が期待通りであることを示します。
  • 違反があれば調査し文書化します。
  • バッチの完全な履歴の追跡を可能にする製造記録 (流通も含む) は、理解でき、利用しやすい形で保持されます。
  • 各種の医薬品が流通することでその品質に対するリスクが最小限に抑えられます。
  • 販売または供給から医薬品のバッチをリコールするシステムが利用可能です。
  • 市販されている医薬品に関する苦情を調べ、品質に関する欠陥の原因を調査し、欠陥のある医薬品に関して再発防止のため適切な措置を講じます。

追加資料

A2-2.06-V1.4