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疾患の機序:基本概念

疾患の治療に対して医薬品を使用するかどうか判断するには、次の 4 つの概念が重要となります。

症状

症状は、患者が正常ではないものとして経験する徴候 (痛み、出血、ある部位のしこり、大量の発汗、めまい、聴覚障害など) です。患者がこうした症状を医師に訴えます。医師はその症状を確認し、疾患や症候群 (一連の症状が同時に現れた状態) と結びつけて診断を下そうとします。

診断

診断は以下に基づいて行われます。

  • 患者の既往症と訴える症状
  • 身体的診察
  • 血液サンプル
  • 身体の内部構造を X 線、コンピュータ断層撮影 (CT)、および磁気共鳴 (MR) スキャンで表示。

機序

何世紀にもおよぶ研究によって、疾患の機序の多くが解明され、症状から診断へつながっています。こうした症状は以下によって観察されます。

  • 裸眼
  • 身体計測や電気計測 (血圧、筋力、尿流量、腫瘍の大きさ、心臓の活動などの計測)
  • 血液サンプルや組織サンプルの物理化学的測定 (「生検」)。

標的

疾患の機序を特定することで、どこが悪くなったのか理解できます。どの分子 (多くの場合はタンパク質) が関連しているのか正確に理解することが重要です。これによって、医薬品の一次作用の標的が形成されます。医薬品が標的に作用すると、分子プロセスが変化するため、次に生理学的プロセスが変化します。したがって、この変化により、疾患の症状をもたらしていた不均衡が補正される場合があります。多くの疾患にとって、効果的な治療は存在していません。現行の治療法の中には疾患の症状の管理にのみ焦点を合わせたものもあります。こうした疾患に対しては、必要不可欠な研究や開発を通して満たされていない医療ニーズを満たすべく取り組みを継続しています。

疾患の観察された症状の背後にある機序を知ることは、治療や投薬の研究を開始できるようにするためにも極めて重要なことになります。

正しい治療とは何を意味しているのでしょうか。身体の機能に正しい均衡を取り戻すことを単に意味しています。この均衡を「恒常性」とも言います。恒常性は、身体のすべての構成要素の間に存在している均衡のことを言います。適切な恒常性とは、人が健康であり、生命力 (朝目覚めたときにエネルギーに満ちた状態) を感じていて、自分の体のどこにも悪いところはないこと (痛みもないし、何の障害もないこと) を感じているということを意味します。