1

治験結果の記録および報告

はじめに

各治験が終了すると、治験依頼者は規制当局の定めた形式に従って詳細な治験総括報告書 (CSR) を取りまとめます。通常、どのような CSR でも数百ページになります。CSR 全体の利用は、通常、依頼者と医薬品販売承認申請 (MAA) を評価する規制当局に限られています。

しかし、CSR を要約した情報がいくつかのルートから公表されることはよくあります。以下のセクションで詳細に説明します。

欧州公開医薬品審査報告書 (EPAR)

新薬の認可が中央審査方式 (CP) によって申請される場合は、欧州医薬品庁 (EMA) によって審査報告書 (EPAR) が作成されます。この報告書は認可申請が承認または拒否された後で EMA ウェブサイトに公表されます。EPAR には医薬品に関する公開情報が記載されています。その情報には EMA 委員会による評価内容も含まれています。科学的な評価の中で使用された機密情報は EPAR の公表前にすべて削除されます。EPAR は専門家を対象としたもので、専門用語が使用されています。ただし、通常は 2、3 ページの要約が付加されており、重要な事実が専門用語を使わずに示されています。

治験レジストリ

欧州では、欧州医薬品庁の欧州治験データベース (EudraCT、www.clinicaltrialsregister.eu) に、欧州で実施されるすべての医薬品治験に関する情報が収集されています。2014 年 7 月時点で、このデータベースには試験の結果概要も公表されています。2015 年 1 月 1日以降に開始されたEUでの試験の結果は、肯定的意味のあるものも否定的意味のあるものも含めてすべてを公表する義務が生じています。世界保健機関 (WHO) は、同機関の国際的治験登録プラットフォーム (ICTRP) を通して、あらゆる治験の登録と報告に関する国際基準を設定しています。米国では ClinicalTrials.gov レジストリ (www.clinicaltrials.gov) が同様の機能を果たしています。

販売承認製品情報

個々の治験の具体的な結果がこの方法で公表されることはまれですが、特定の医薬品に関して入手可能な情報の全体的な要約を製品概要 (SmPC) から入手することは可能です。これは医療従事者向けの文書ですが、かつては患者情報リーフレット (patient information leaflet (PIL)) と呼ばれていた添付文書 (package leaflet (PL)) の根幹でもあります。PL は利用者や患者を対象にしています。国内規制よって異なりますが、これらの文書は、インターネット、規制当局、各メーカーのウェブサイト、または独立機関によって運営されるウェブサイトから入手できます。EPAR に記載の製品情報はすべての EU 言語で公表されています。

雑誌論文

治験結果が公表される伝統的なルートは専門医学雑誌の研究論文です。雑誌に掲載される治験報告書は、掲載されない論文と比べて、当該疾患がより一般的であること、すなわちその結果に関心のある医者の数が多いことを反映している場合が多いといえます。現在のほぼすべての雑誌は、候補となる記事に査読プロセスを課しています。当該分野の外部専門家が公表前に原稿を批評してその欠点を指摘するプロセスのことです。

学会

毎年多くの国際医学学会が開催されており、その一部はかなり一般的なテーマを扱っていますが、多くは、限られた専門分野をテーマにしています。これらの学会で治験結果が公表されることはよくあります。口頭による発表の場合と会場の公共区域にポスターとして掲示される場合があります。多くの場合は、この情報の利用は学会の出席者に限られています。部外者による入手は容易ではありません。ただし、同じ試験が雑誌論文のテーマにもなることもよくあります。患者団体の開催する会議で国際医学学会からの情報が報告され、各患者コミュニティに持ち帰られることもあります。

患者団体のウェブサイト

多くの専門家支援団体が特別な疾患を持つ患者を支援しています。また、その多くはウェブサイトで関連のある治験報告書を公表しています。これらの報告書は、当該組織に協力する専門家による解説と患者にもわかりやすい用語を使用し、患者にとって特に有用な報告書になる傾向があります。

一般報道機関

テレビ、ラジオ、新聞が公表する治験結果の精度と理解には大きなばらつきがあります。一般に、煽情的な記事は結果についての冷静な説明というよりは売り上げを伸ばすための記事であると考えるのが賢明です。

添付文書

A2-4.34.2-v1.4