患者の関与 – HIV DUET 第 III 相試験

Last update: 11 7月 2023

はじめに

2 つの治験化合物の組み合わせを使用する新しい治療計画の HIV DUET 第 III 相試験における、患者活動家団体の患者関与のケース報告です。TMC125 (エトラビリン) と TMC114 (ダルナビル)。AIDS Treatment Activists Drug Development Committee (アメリカ) 、European Community Advisory Board of the European AIDS Treatment Group (ECAB EATG) 、製薬会社 Tibotec (現 Janssen Therapeutics) との間の協議です。

ケースの説明

製薬開発会社 Tibotec (現 Janssen Therapeutics) は、2005 年に DUET 1 & 2 調査をデザインしました。DUET 第 III 相試験では、HIV 治療を経験した集団で TMC125 (エトラビリン) と TMC114 (ダルナビル) を併用しました。この試験独自の特徴は、使用された化合物がどちらも使用時 (2006) 年にはまだ使用が許可されていなかったことです。これは 1 つの治療群だけであり、試験のもう一方の治療群はプラセボ対照のままでしたが、まだ使用許可が下りていなかった 2 つの化合物が、治療を経験した状況の試験で使用された初の機会でした。

HIV 感染はまだ治療不能ですが、対処可能な病気です。そのために、患者の薬への耐性を回避する抗レトロウィルス薬 (ART) の比較的厳密な投薬計画が必要です。特定の薬や薬の種類に対する耐性は、治療を経験しており、その結果体内のウィルス複製を管理する新しい投薬計画やより複雑な投薬計画が必要な患者でより一般的です。

2 つの未登録化合物を併用する試験を初めて達成するにあたっては、患者コミュニティが主要な役割を果たしました。標準手順では、1 つの試験で 1 つの新しい化合物を使用します。

この患者コミュニティの介入の目標は、多くの治療を経験している患者に対し、効能がある新型の ART の組み合わせをサルベージ療法として利用可能にすることであり、試験を通した新型治療法の例外的使用が提唱されました。

関与する患者 (権利擁護者) のタイプ

  • 個人的な疾患を持つ患者
  • 疾患に関する優れた専門知識を持つが、研究開発 (R&D) 経験がほとんどないエキスパート患者または患者権利擁護団体
  • 病気に関する優れた専門知識と優れた R&D 経験があるエキスパート患者または患者活動家団体

患者が関与するベネフィット

このプロセスでは、患者コミュニティと製薬会社間の協議がかなり進み、発展しました。関与した患者の組織 (PO) は業界や規制機関に対し、患者コミュニティの知識と経験は開発プロセスにかなりのデータを生み出せることを成功裏に実証しました。以前の試験からの予備結果が十分に説得力のあるものであるときに、コミュニティの革新的なアプローチは開発プロセスに、従来とは違う戦略を応用するというある程度の「勇気」を与えました (どちらの新しい化合物も当時すでに安全で十分に耐えられるものであることはわかっていました)。

この新しいアプローチは持続する効果と、利害関係者間での信頼につながりました。大西洋の両側からの 2 つの PO の協力はより集約的な新しい局面に入り、これによって HIV を抱えて生活している人々のコミュニティ間での経験の交換が可能になりました。DUET 調査によって、事前にかなりの治療を受けた何千人という患者は蓄積された多剤耐性 (MDR) を乗り越えられるようになりました。

課題と障壁

治療選択が少なくなった患者に新しい化合物の例外的使用を提供することはチャレンジでした。そしてそれはこれからもチャレンジであり続けます。臨床試験への参加は、患者が新薬にアクセスするための有効な手段です。

2 つの実験的な化合物の使用は、一般的に行われていることではありませんでした。開発者 (そして順番に米国食品医薬品局 (FDA) 、欧州医薬品庁 (EMA) 、各国金融監督庁 (NCA) ) に、この新しい戦略を確信してもらうには、患者コミュニティからの相当な擁護的 (政治的) 意見が必要でした。

2005 年、アントワープで ATAC-DDC 、EATGとECAB および製薬会社と共に重要な会議が開催されました。この会議の具体的な目標は、困っている患者を支援する新しいアプローチの有用性とニーズを企業に確信してもらうことでした。

しかしながら、主な課題が 1 つ残りました。製薬会社は、試験をプラセボ対照治療群を使ってデザインすることにしたのです。つまり、患者全員が新薬を投与されたのではなく、50% の患者はプラセボが投与され、残りには試験中の化合物が投与されました。

学んだこと

医薬開発における患者組織やエキスパート患者の関与は、もはや珍しいものではありません。しかしながら、医薬品開発と研究の複雑な背景を切り抜けていくには、新しい戦略、途切れることのない作業、継続的な独学による補完、そしてコミュニティによる現場の厳密な知識が必要です。

PO が目標、この場合は新しい治療選択の利用可能性ですが、目標を達成するために行使する政治的な目標や圧力を利用するには、規制機関とのより集中的なやり取りが必要です。

あらゆる努力にも関わらず、PO は部分的な成果しか達成できず、プラセボ対照治療群が関わったのは、この試験の一部のままでした。しかしながら、この領域における改善は、患者の関与と共に展開される今後の試験デザインで達成されるかもしれません。

PO 間でのさらなる協調と、特定の疾患領域内外でのより定期的な経験の交換により、研究における患者の関与の有効性と効率は向上するはずです。

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