小児用医薬品の開発:概要

はじめに

1960 年代には、医薬品の有効性の試験を成人で実施しましたが、小児に対しては行っていませんでした。医療従事者には、成人用に認可された医薬品を、無効力や副作用の関連リスクを伴いながら、小児に「適応外使用」する以外の方法がありませんでした。

製薬会社は、小児集団の必要性に医薬品を適応するため、必要な研究開発を日常的なものとしては実行しませんでした。

EU では、現在、小児の治療に使用する医薬品の大部分が、「適応外使用」で使用されています。つまり、これらの医薬品は小児集団では実際にはまったく研究されず、成人の治療に使用されても小児の同じ疾患の治療には使用されない場合があります。

小児用医薬品のギャップに対応

EU および US のガイドラインは、小児の症状の治療に十分適切な認可済み医薬品が欠如している状態に対応するため、以下のことを目的として作成されました。

  • 小児用医薬品のタイムリーな開発を奨励および促進する
  • 使用する医薬品を適切で倫理的な研究開発の対象にすることを確実にする
  • 医薬品の小児集団に対する使用について適切な認可を受けることを確実にする
  • 医薬品の小児に対する使用について、情報入手を改善すること
  • 「適応外使用」の低減に役立てること

臨床試験依頼者は、開発の早期に、小児集団で医薬品を開発する適切性の評価のため、多くの問題を検討する必要があります。小児用の医薬品開発を含める適切な時期は、疾患とアンメットニーズにより左右される場合が多くなっています。医薬品がすでに良く知られた機序を持つ医薬品グループの一部、または「新規」 (新しい) 医薬品かによっても異なります。

小児は社会的弱者なサブグループであるため、小児用医薬品の開発では不当なリスクから小児を保護する特別な措置を取る必要があります。小児用研究における臨床試験デザインの最適化と倫理上の問題は、必要な検討事項のごく一部です。シロップを使用できない場合、錠剤の嚥下が困難である問題などを解決するには、年齢固有の製剤が不可欠です。代替的な香味、色、味のマスキングを要する場合もあります。

EU と US の法律制定の結果、医薬品開発は、小児について検討せずに実施することはできなくなり、小児用の開発を成人用の開発と併せて行われることが多くなりました。この変化により、小児用開発は増加の一途をたどり、小児用に開発される医薬品が増え始めています。

添付文書

A2-1.18.1-v1.3