医薬品の製造。ステップ 8:確認試験

はじめに

患者が新薬を使用できるようになるまでには 12 年以上かかり、すべての研究開発にかかるコストは平均で 10 億ユーロを超えます。

医薬品の開発は、リスクの高い投機的事業です。開発中の大半の物質 (約 98%) は、新薬として市販されることはありません。その理由の多くは、開発中に確認されたベネフィットとリスク (負の副作用) を考慮すると、既に市販されている医薬品とうまく比較できないためです。

新薬の開発は、10 段階のステップに分けることができます。本稿では、「ステップ 8:確認試験。

ステップ 8:市販に向けた開発:第 III 相臨床試験  確認試験

第 III 相試験 (確認試験とも呼ばれます) は医薬品開発の中で最も大規模であり、最も複雑で、最もコストがかかるステップです。このステップの目的は、大規模な患者集団で候補化合物の有効性と安全性を確認することです。

第 III 相試験に進む決定が下されるのは、製造部門や事業部門からだけでなく、初期の試験から得られたすべての情報による裏付けが存在する場合だけです。また、このような試験のデザインも非常に重要です。そのため、第 III 相試験を開始する前に、外部の専門家、規制当局、患者グループなどを交えた議論を何度も行います。これにより、適切な質問が行われ、適切な情報が収集されるようにします。結果を適切に解釈し、規制当局の要件を満たすためには、この試験に参加する患者数も非常に重要です。

初期の段階で集めたすべての情報を使用して、次のような重要な決定を行います。

  • 医薬品の最終的な処方 (活性薬剤を他の化学物質とどのように結合させるか)
  • 試験する用量
  • どのような患者を採用するか (選択基準)
  • どのような患者を除外するか (除外基準)
  • どれくらいの患者数が必要となるか
  • 試験デザイン
  • 試験の期間
  • 有効性と安全性を測定する方法
  • 使用する統計的検定

試験のこの段階には、数千人規模の患者が参加します。しかしこれは、医薬品の治療目的 (「適応症」) によって異なります。たとえば、一般的とはいえない症状が適応症となっている場合は、小数の集団で第 III 相試験を実施する場合があります。

第 III 相試験には数千人規模の患者が参加し、多くの国で実施するため、効果的に実施するためには大量の専門知識が必要になります。そのためコストが高くなり、時間もかかります。しかしこれが、医薬品の有効性 (効果がある場合) とその安全性 (良好な忍容性を示す場合) の関係について明確な洞察を得る唯一の方法であるため、非常に重要です。

第 III 相試験は、医薬品開発プロセスの中で最も大規模であり、最も複雑で、最もコストがかかる部分を構成しています。医薬品の 50% 以上は、このステップで不合格となります。プロジェクト全体の失敗率は、発見段階から合計すると 97% を超えます。つまり、市販に至ったわずかな割合の医薬品による収益から、成功したものだけでなく失敗に終わったものも含め、すべてのプロジェクトのコストを賄うことになります。

参照文献

  1. Edwards, L., Fox, A., & Stonier, P. (Eds.).(2010).Principles and practice of pharmaceutical medicine (3rd ed.).Oxford:Wiley-Blackwell.

添付文書

A2-1.02.7-v1.1