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健康と疾患上の危険因子

はじめに

健康と福祉は多くの因子から影響を受けますが、中でも病弱、障害、疾患、死亡と関連した因子は危険因子として知られています。危険因子とは、病気になったり、負傷したりする可能性を高める特徴、状態、または行動のことです。危険因子は個々に述べられる場合がよくありますが、実際には単独で起きているわけではなりません。危険因子は多くの場合、共起して相互作用します。たとえば、運動不足でいると、徐々に体重が増加し、血圧が高くなり、コレステロール値も高くなります。こうしたことが組み合わさって、慢性的心臓疾患や他の健康面での問題を抱える可能性が著しく高まります。人口の高齢化や平均余命の長期化によって、治療費の高くつく、長期間の (慢性的な) 疾患や障害が増加しています。

ヘルスケアに対する需要が高まっており、当該部門は常に十分とは言えない予算増の圧力の下に置かれています。私たちは、社会全体として、そして医療システムの利用者として、疾患の背後にある原因と危険因子を理解し、費用対効果の高い、利用可能な予防プログラムや治療プログラムに積極的に参加することが大切です。

一般的に、危険因子は次のグループにカテゴリー化されます。

  • 行動危険因子
  • 生理学的危険因子
  • 人口統計学的危険因子
  • 環境危険因子
  • 遺伝的危険因子

以下でより詳細に説明します。

危険因子の種類

行動危険因子

行動危険因子は通常、個人が選択した「行動」に関連しています。従って、これらの危険因子はライフスタイルや行動上の選択を通じて取り除いたり、減らしたりできます。以下の内容が例になります。

  • 喫煙
  • アルコールの飲みすぎ
  • 栄養に関する選択
  • 運動不足
  • 適切な保護なしに陽ざしの中で過度の時間を過ごすこと
  • 特定のワクチン接種を受けないこと
  • 避妊具を使用しないセックス。

生理学的危険因子

生理学的危険因子は、個人の身体または生態に関する因子です。この危険因子は遺伝的因子、ライフスタイルに関する因子や他の幅広い因子の組み合わせによって影響を受けます。以下の内容が例になります。

  • 過体重または肥満
  • 高血圧
  • 高い血中コレステロール
  • 高血糖 (ブドウ糖)。

人口統計学的危険因子

人口統計学的危険因子は、人口全体に関連する因子です。以下の内容が例になります。

  • 年齢
  • 性別
  • 職業、宗教、所得などの母集団のサブグループ。

環境危険因子

環境危険因子では、社会的、経済的、文化的、政治的な因子、並びに身体的、化学的、生物学的因子など広範囲のテーマを扱います。以下の内容が例になります。

  • 浄水や衛生設備の利用
  • 職場における危険
  • 大気汚染
  • 社会的環境。

遺伝的危険因子

遺伝的危険因子は個体の遺伝子に基づいています。嚢胞性線維症や筋ジストロフィーのような疾患はすべて、個人の「遺伝子構造」からもたらされます。喘息や糖尿病のような他の多くの疾患は個体の遺伝子と環境的因子の間の相互作用を反映します。鎌状赤血球貧血のような他の疾患は特定の集団のサブグループでより多くなります。

全世界における死因と人口統計学的因子の危険

2004 年における全世界の死者総数 (理由を問わず) は 5,900 万人でした。

以下の表には、世界保健機関 (WHO) による 2004年における全世界の死者総数について大部分の原因となった最も一般的な危険因子トップテンが示されています。上位第 6 位までの主要な危険因子はすべて、心臓疾患、糖尿病、癌などの長期におよぶ疾患が発症する可能性と結びついています。

表:死亡 (死者数) に関する世界規模で見た危険トップテンの WHO 統計値 (2004年)
ランク 危険因子  死者総数の中の割合 (%)
 1  高血圧  12.8
 2  喫煙  8.7
 3  高い血中ブドウ糖  5.8
 4  運動不足  5.5
 5  過体重と肥満  4.8
 6  コレステロール高値  4.5
 7  避妊具を使用しないセックス  4.0
 8  アルコール摂取  3.8
 9  小児期の過少体重  3.8
 10  固形燃料から排出される屋内の煙  3.0

上記の表内のランキングは、所得や他の人口統計学的因子を考慮すると違ったものになります。

所得

高所得国や中所得国にとって、最も重要な危険因子は長期の疾患に関する因子ですが、低所得国においては、小児期の栄養障害や避妊具を使用しないセックスがより蔓延しています。

年齢

危険因子も年齢とともに変わります。危険因子の中には栄養障害や固形燃料から排出される屋内の煙などほぼ例外なく小児に影響を及ぼすものもあります。成人に関して、年齢に応じてかなりの違いが生じます。

  • 避妊具を使用しないセックスや依存性物質 (タバコやアルコールなど) が若い成人の健康問題の大部分を占めます。
  • 長期にわたる疾患や癌の危険因子は主に高齢者に影響します。

性別

性別の相違も存在します。たとえば、男性は依存性物質に関連した様々な因子の危険性が高くなります。女性は妊娠中の鉄欠乏に苦しむ傾向があります。

危険因子への暴露を低減

危険因子への接触 (暴露) を低減すると、世界的に健康状態が大いに改善され、平均余命が何年も伸びます。したがって、医療費の削減になります。SCORE Project のファクトシートも危険因子が健康状態や平均余命に大きく影響する例として参照してください。

参照文献

  1. World Health Organisation (2009).Global health risks:Mortality and burden of disease attributable to selected major risks.Geneva:World Health Organization.
    Available from:http://www.who.int/healthinfo/global_burden_disease/global_health_risks/en/
  2. Australian Institute of Health and Welfare (2015).Risk factors to health.Retrieved June 23, 2015, from http://www.aihw.gov.au/risk-factors/

添付文書

A2-1.01-V1.2